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"Strawberry Moon"

04 29, 2018
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卯月 月齢13

「京都の春は短いし。うかうかしてると夏やな。」

誰と交わした会話だったか今となっては覚えていない。だが確かにそれは、圧倒的なる初夏の勢いが瞬きの間に春の余韻を残すことなく成り代わったかのように想える。

そんな中、夫が新しいアルバムをリリースした。それは計ってか計らずしてか、桜が満開の時節と重なった。



このブログにも時折登場してきた夫(樹さん)とは、ミュージシャン タカツキタツキのことでもある。「でもある」というのは、この人には色んな側面があり、肩書きも名字も複数使い分けていて、私も知らない顔をいくつかもっている人だからだ。


謎は謎であるからこそ美しいのであって、自分の伴侶だからといってそれを共有しようとするのは、つげ義春の「退屈な部屋」に出てくる妻のように滑稽な行為に想える。よって、私は敢えてそれを知ろうともしないので、謎が謎を呼んではいるが、それで良い。


話は戻って、この新アルバムは筑波山で暮らしていた間に制作され、麓にある石蔵で実験的なレコーディングれたものである。音源としてリリースするまでに随分と大切にあたため(というか、一旦放ったというのか)、ここ京都は比叡山の足元で漸く形になったようだ。



余談なのだが、我が家では夫が制作モードに入ると、マスタリング作業とやらのために同じ曲が延々とループされる日々が続く。曲自体は私が散歩に出掛けるほどの時間で作るのに、そこからが長い。夫は食事していても寝ながらにしても、常に音楽しているらしく、次第に寝ている時も作業途中の曲がかけられるようになる。その為私も必然的に散々聴くはめになるわけだが、はじめてアルバムとして形になった時、改めて夫から手渡される一枚は、やはり何か嬉しいものがある。




「ラッパーの、ラップしないアルバム」

実験というだけあって、ヒップホップのベースラインを下敷きにしているらしいが、ヒップホップというわけでもない。ジャズでもなければ、何なのか。

英語訳を手伝った際、インストアルバムという表現で良いか問いたところ、インストであってインストではない、という返答だった。 一見答えになっていないようだが、なるほど。と妙に納得した。リズムや音そのものではないのはわかる。


私は音楽について全くわからないけれど、私にとって云うところの、森にいずして森にいるような感覚か、と。


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Takatsuki Experiment "Strawberry Moon"

タカツキ自身がつくばの苺畑で目にした月に、十牛図の8図目「人牛倶忘」を想い見たというタイトル。「空の教え」である。 


タカツキはあれやこれを手放しても尚、未だ空への途上にあることを知るのだろう。



今宵、満月手前の僅かに欠けた月。
見えぬ部分にこそ、それは在らん。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Takatsuki Experiment
new album "Strawberry Moon"
feat. SWING-O(piano) & Yuko Takahashi(percussion)


お陰様で、沢山のCDが長閑な大原や西陣などの郵便局から旅立っていったようです。
京の初夏の空気も一緒に届きますように。

こちらからご購入頂けます↓

CD直販(nrecords)

itunes

bandcamp *2曲だけご視聴も可能です

店舗

渋谷 Flying Books
つくば People Bookstore 他

詳しい情報は↓にて
タカツキblog



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季節が待ってはくれないように。

04 02, 2018
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卯月 月齢15

そして、夕暮れの色が柔らかくなった。

少し散り始めた桜の樹のもとに、初夏の花が咲き始めている。




季節が待ってはくれない様に、私が在る状況も急速に変化した今年の春の訪れ。

沢山の子どもたちと共に、笑ったり悩んだり、はしゃいだり議論したり、そんな日々が再びスタートした。結婚して裏高尾を離れて以来だ。しんどいことも多々あるけれど、楽しさや嬉しさが勝るこの感じに、記憶が蘇る。


散りゆく桜に、はんなりしてばかりもいられないけれど、芽吹き勢いに任せたい。



にしても、京都はどこもかしこも桜が見事だ。

どんなに忙しなくしていても、春を見逃さずにいられるこの地に、有り難さと尊さを感じずにはいられない。




遠くで鹿の声が響いている。

カジカガエルの声も、もうそう遠くはない。


そう感じる今宵もまた、良い夜だ。












月蝕と月影絵と。

02 01, 2018
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山の稜線の一点が薄ら明らんでくる。
「あぁ、あそこから顔をだすのね」と吊り橋の上で待つ月の出。

夫の帰りを待ちながら、月蝕が始まる前の満月を愛で遊ぶ。
月影絵。

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カラカラに乾いた実たちと。

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膨らみはじめた蕾たちと。

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月蝕のはじまりを眺めていた。雲がかすめ、光の強弱で空の表情が豊かに変化してゆく様を見つめていた。

まだまだだね、と一旦家に戻り、夕飯にすることにした。


結論から言うと、呑気に夕食を食べていて、皆既月食のピークを見逃してしまった。

「そろそろ、、、」と家を出ると空はすっかり曇っている。星も見えない。「あっ」と夫が指差す先を目で追うと、ウッスラ、目をこらすと何となくボヤッと白けている染みの様なものがある。

雲の靄の中、月が戻ってゆくところだった。

赤い月を「イクラみたいだね」と友人たちと眺めたのは、裏高尾に住んでいた時以来。何年前のことだろか。
あの月をもう一度みたくて、随分と前からソワソワしていたというのに、、、。



とはいえ、


こうしてカメラに今夜残された写真たちを眺めてみると、「なーんだ、十分以上に今回の満月を楽しんでいたじゃない」と思わず笑い、妙に満足した。


関東の友人知人たちはイクラの様な月を観れたらしい。京都では観られたのだろうか。知りたい様な、知らないまま満足していたい様な、、、。



とにかく、


実に良い月夜でありました。


月が隠れた闇の向こう側に消えた、鹿の蹄の音が、今も耳の奥に残っている。



おやすみなさい。優しい夢を。









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皆既月食に。

01 31, 2018
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睦月 満月



皆既月食の今宵。

そんなことがあるなんて、人間以外は知っているのだろうか。


月を見上げるのは、きっと、人間だけではなくて。
月の陰影で表情を変えるのは、私も今日森で出会ったあの子も同じで。

なんだかそれが、私を嬉しくさせる。



今日は、脈が少しだけ、早いのを感じている。

今日も、月の出を待ちわびている。








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粉雪舞う森の朝。

01 26, 2018
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睦月 月齢9

この森にも雪が積もった。

青空が広がりはじめた朝に、時折風が森を撫でていく。

気温の低さが雪を溶かすことなく、幹や枝葉にとどまった粉雪が風に舞う。
その舞いに合わせるように、光が刻一刻と変わってゆく。

ザワっと揺れる枝の音。
サワサワと舞う雪の音。

森が刻一刻と表情を変える。

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それは、不思議な雪だった。

降り出す直前まで、山の稜線近くに、くっきりと月が出ていた。日付が変わり降り出した雪は、今までに見たことがないくらい繊細な粉雪だった。

それは、不思議な雪だった。

サワサワと、粉雪が私に舞い積もる。全てに身を委ねるとは、このことだ。全く冷たくない雪だった。

あぁ、私は幸せだ。

とてもシンプルに、そう思った朝だった。


そして、今夜も雪予報。また明日も、目覚めるのが楽しみだ。





・・・・・・・・・・・・・・・





*今まで、写真だけで伝えてきましたが、たまには動画を。
あなたにも、この森の空気が届きますように。





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雪が降ったものだから。

01 22, 2018
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睦月 月齢5

ここ数日、週明けに全国的に広い範囲で雪が降るという予報が、ラジオから連日流れていた。

なのに京都は雪ではなく、雨予報だった。
けれどそんなこと言われ続けると、その時が近づくほどに、ワクワクを便乗してしまうではないか。

以前住んでいた裏高尾でも、筑波山でも雪が積もってゆく様子が、SNSで友人たちの写真と共に流れきた。

皆どこか嬉しそうだ。特に山や森に住まう仲間たちは戸惑うことなく雪を謳歌している様子。
その地で数年前に見た雪景色が浮かぶ。



正直、ちょっと羨ましい。



と思っていたら、この森にも雪が舞いはじめた。
風のない日の雪は、遠くほどゆっくりと落ちる。実に優雅だ。そして山が白くなる次第に、空との色の境がなくなってゆく様を眺めていた。


雪はいい。

小さな芽吹きだけでなく、乾き切った落ち葉でさえも、凍えるほどの寒さの中に温もりを感じさせる。命の温度とでも言おうか。自分の体温も然り。

雪が何もない空から生まれてくるという、とてつもなく偉大な神秘に改めて、そして何度も感動し、飽きることなく眺めていた。
辺り一面、薄らと真白になっていった。

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雪は雨に変わり、雪は消えた。ノブドウの蔓に雫が伝っては落ちていった。

この冬、何度目の雪だろう。少し降ってはすぐに消える。
この冬、あと何度雪が見れるだろう。少しといわず楽しみだ。

今夜は冷え込んでいる。ホットワインを作る良い口実が出来た。雪が降ったものだから。少し多めにスパイスを効かせましょうか。

静かに夜が深まってゆく。今夜はぐっすり眠れそうだ。




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新年、雪の比叡から。

01 12, 2018
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睦月 月齢25

「しまった!油断した!」

飛び起きてカーテンを開ける夫。動物でいったらイヌの様に、はしゃいでいる。

(あ、雪なのね)

ゆっくり目覚める私。油断せずにあちら世界の夢中時ってあるのか、と冷静に考えている。


「登りますか」

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ほんの数分の出来事の中に、果てないドラマが凝縮されていた。

その後空は筆洗いの水入れのような質感で、淡い淡い限りなく澄んだ水色が空に浮遊し広がっていった。
何事もなかったかのように、そして景色はあたかも当たり前であるかのように落ち着きを放ってゆく。

姿をくらましていた夫もまた、何事もなかったかのように、雪を背景に缶ビールを飲んでいた。

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比叡の山から大原が望める。改めて見ると、山に囲まれていることを実感する。

前日の元旦に、「パトロールにいこう」と夫が言うので、大原から静原を抜けてドライヴをした。その時も局地的に雪が降っていて、風吹の中に白月の様な太陽をみた。風吹のせいか、太陽の周りの光の広がりがウォームトーンで大きく、息をするのを忘れる程美しかった。

2日連続でそのような景色に出会えるとは、今年は年明けから幸先が良い。それだけでもう、今年既に全て良し!と感じていて、例え明日急に師走になったとしても納得がゆく気がしている。

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明けまして、お愛でとうございます。
今年も一年、森と共に。出会うものひとつひとつを愛で、学び多き年となりますように。

皆さまも健康に、光多き良い一年になりますように。
比叡の山より、森の風をおくります。



Current Moon
CURRENT MOON
プロフィール

Coo

Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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