粉雪舞う森の朝。

01 26, 2018
IMG_20180125_100744-1.jpg

睦月 月齢9

この森にも雪が積もった。

青空が広がりはじめた朝に、時折風が森を撫でていく。

気温の低さが雪を溶かすことなく、幹や枝葉にとどまった粉雪が風に舞う。
その舞いに合わせるように、光が刻一刻と変わってゆく。

ザワっと揺れる枝の音。
サワサワと舞う雪の音。

森が刻一刻と表情を変える。

IMG_20180125_100949.jpg

IMG_20180125_101003.jpg

IMG_20180125_100759.jpg


それは、不思議な雪だった。

降り出す直前まで、山の稜線近くに、くっきりと月が出ていた。日付が変わり降り出した雪は、今までに見たことがないくらい繊細な粉雪だった。

それは、不思議な雪だった。

サワサワと、粉雪が私に舞い積もる。全てに身を委ねるとは、このことだ。全く冷たくない雪だった。

あぁ、私は幸せだ。

とてもシンプルに、そう思った朝だった。


そして、今夜も雪予報。また明日も、目覚めるのが楽しみだ。





・・・・・・・・・・・・・・・





*今まで、写真だけで伝えてきましたが、たまには動画を。
あなたにも、この森の空気が届きますように。





0 CommentsPosted in

雪が降ったものだから。

01 22, 2018
 IMGP8140.jpg
IMGP8105.jpg

睦月 月齢5

ここ数日、週明けに全国的に広い範囲で雪が降るという予報が、ラジオから連日流れていた。

なのに京都は雪ではなく、雨予報だった。
けれどそんなこと言われ続けると、その時が近づくほどに、ワクワクを便乗してしまうではないか。

以前住んでいた裏高尾でも、筑波山でも雪が積もってゆく様子が、SNSで友人たちの写真と共に流れきた。

皆どこか嬉しそうだ。特に山や森に住まう仲間たちは戸惑うことなく雪を謳歌している様子。
その地で数年前に見た雪景色が浮かぶ。



正直、ちょっと羨ましい。



と思っていたら、この森にも雪が舞いはじめた。
風のない日の雪は、遠くほどゆっくりと落ちる。実に優雅だ。そして山が白くなる次第に、空との色の境がなくなってゆく様を眺めていた。


雪はいい。

小さな芽吹きだけでなく、乾き切った落ち葉でさえも、凍えるほどの寒さの中に温もりを感じさせる。命の温度とでも言おうか。自分の体温も然り。

雪が何もない空から生まれてくるという、とてつもなく偉大な神秘に改めて、そして何度も感動し、飽きることなく眺めていた。
辺り一面、薄らと真白になっていった。

IMGP8116.jpg


雪は雨に変わり、雪は消えた。ノブドウの蔓に雫が伝っては落ちていった。

この冬、何度目の雪だろう。少し降ってはすぐに消える。
この冬、あと何度雪が見れるだろう。少しといわず楽しみだ。

今夜は冷え込んでいる。ホットワインを作る良い口実が出来た。雪が降ったものだから。少し多めにスパイスを効かせましょうか。

静かに夜が深まってゆく。今夜はぐっすり眠れそうだ。




0 CommentsPosted in

気がついたらば。

12 11, 2017
575A0773_20171208213733b10.jpg
575A0925.jpg
575A1106.jpg


師走 月齢22

「文章を書く気になれないんだよね」

何となくそんな秋を過ごしていて、気がついたらば冬になっていた。
書かないと書けなくなるのもわかっていながら、言葉にしない心地よさもあって今に至っている。

それでも写真だけは撮り続けていた。

京都に住まいを移し、はじめての秋は、あまりにも色とりどりに過ぎ去っていった。

誰にも見せることのない写真たちがまた溜まってゆく。
私が死んだ時に、私が目に写したものたちを夫が眺めてくれればそれでいいか、などと思ったりもする。

と、書き出しに困ってツラツラと書いて気づくのは、私は夫よりも長く生きることは考えてもいなかったのだな、ということだった。自分勝手さに驚く。

気がついたらば冬になっていた様に、私たち夫婦も、気づいたらば結婚4年目になっていた。色んなことがありつつも、時の流れは緩やかにも確実に何かを刻んでいるわけだな、と改めて想う。

575A1115.jpg

手の届かないところにあった葉たちが、今では足元に広がっている。
それはそれで嬉しくて、歩いてはしゃがみ、立ち上がっては歩き出し、振り返っては立ち止まり、そしてまた戻ってはしゃがみ、時を忘れる。

すっかり森いろに染まった頃に、ふと視線を感じる。
気がついたらば、初老の女性がオニギリを手に、ニコニコと嬉しそうにこちらを見ている。

「こんにちは。」声をかけてみる。
「こんにちは。」笑顔がこぼれる。

「いえね、あなたがあんまりにも嬉しそうで。私、こんな嬉しそうに散歩する人、はじめてでね。」

そう言われて、急にモジモジした。いつから見られていたのだろう。
「私は、そんなに嬉しそうにここに座っている人、はじめてです。」

ふふふ、と笑って彼女の隣に座り、一緒に森を仰ぐ。


紅葉シーズンが終わり、訪れる人も急に減った森は、静けさを取り戻していた。

「良い季節ですね」
「ええ、いつでも、そうですね」

ふふふ、と笑い、暫く他愛もない言葉を交わし、それぞれの家路に向かった。




落ち葉の色も日に日に褪せてゆく。
私の好きな冬の美しい色や香りが森に広がりはじめた。

こうして今年も冬に出会えることが、嬉しくて仕方がない。



2 CommentsPosted in

雨に眺められて。

10 16, 2017
f43595072_20171013195746b86.jpg


神無月 月齢26

秋の長雨。
霧立つ山々。

枝葉を伝う雨粒。
葉先に垂れる雫。

放たれる瞬間に忘れられる呼吸。

広がる波紋。
その中心に生まれる泡。

その弾ける音をかき消す雨音。

IMGP7438.jpg
IMGP7449.jpg
IMGP7435.jpg
 IMGP7434_20171016185740105.jpg 


多くを求めず、受動視でもって目の前のそれに身を置いたらば、
調和のとれた美しい世界というものは、至極身近にあるものだ。


そんな当たり前なことを、何度でも惜しげなく教えてくれる雨が、私は好きだ。


「雨に眺められている」

そんな気さえする秋の長雨に、しっとりと想いを重ねている。



0 CommentsPosted in

葛の花が咲きはじめたので。

08 29, 2017
 575A0231_2017082917550676c.jpg

葉月 月齢7

沢で涼む。
心を洗う。

沢の音に耳を浸す。
森の光に身を晒す。


鹿の足跡が残されている。
そこに2本の指を重ねる。

微かに鹿の香りを感じる。
微かに暖かな温度を感じる。

575A9996.jpg  

575A8795_20170829181906887.jpg  

ふと我に返ると、南天の花が揺れていた。

それはある暑い日のことだった。
その日のことを私は、何となく忘れられずにいる。

575A0253_20170829175506136.jpg

京都の夏も落ち着こうとしている。
黒猫のヤブさんの羽毛は未だに抜け続けている。ここまで夏を諦めなかったのか、ここに来て夏を手放したのかは私にはわからない。自分でコントロールできるものと、できないものがヤブさんにもあるのかもしれない。

(ヤブさん、夏が終わるよ。夏も終わるんだよ。)

私はもう暫くは沢に涼みにゆくけれど、葛の花が咲きはじめたのだから、新しい秋を迎える心持ちで出かけてゆくだろう。

秋の初まりは、いつもどこかノスタルジックで、過ごした夏を振り返る。


もうそんな季節。







0 CommentsPosted in
Current Moon
CURRENT MOON
プロフィール

Coo

Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

最新記事
リンク
カテゴリ
mail
ご質問・お問い合わせ等はこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
RSSリンクの表示