命日。

07 29, 2014
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文月 月齢3

ヤマユリが薫る頃になると「夏だねぇ」と思うと同時に想い出す。

父の命日の朝。

父の写真を携えて森を散歩し、父が他界したと連絡が入った時に立っていた場所に再び立ち、空を仰ぐ。

あの日も今日みたいに澄んだ青空の日だったな、、と。


写真の中で笑う父。
この一枚しか、私の手元には残っていない父の写真。

父が山を愛した若かりし頃を私は知りません。

登頂を果たし何を見、何を胸に焼き付けていたのでしょうか。

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カメラ好きだった父は、1gでも荷物を軽くすることに躍起になるところを、カメラとフィルムだけは必ず持って登頂を臨んだと、私が幼かった頃に語ってくれた事がありました。

少しでもペースが遅れると、「そんな重い物持ってるからだ!」と先輩になじられ、殴られたりもした様で・・・


「道に咲いている花もかすんでみえる。
この合宿で4回どなられ、2回殴られ、1回立たせられた。
何とも思っとらん。
おれは山にしごかれにゆく。」

負けず嫌いは父ゆずりか・・・そっか、参ったな、、、血じゃ仕方ない。


「おかげで貴重な写真が沢山ありますよ」
父の葬儀の時に参列して下さった当時の山岳部のお仲間さん方々がおっしゃっていました。

父、やるなぁ・・

写真をやるようになった私は、心からそんな父を誇りに想います。

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お父さん

昨日、私が山の上から見た我が家方面の景色

日々の生活の中で、どんなに忙しくても、そこに山がいてくれることが、当たり前の様でいて、とっても特別でかけがえのないものでもあると感じられるようになったよ


お父さん、私ね、

もっと山の話、聞いておけば良かったなって

それが何よりもの心残りなの


お父さんが残してくれた山のスライド写真を時々眺めては、そこに添えられている言葉を読んで当時を想像するしかないのだけれど・・・

私が遺品としてもらったお父さん愛用のナイフ
ビックリするほど私の手のサイズにピッタリで、まるで私が必要になる事を知っていたかのようだね

お父さん、

私、自分が好きなものを改めて見回してみるとね、確実にお父さんの娘だなって最近特に想うんだ

ナイフもスライド写真も大切にするよ




お父さん、

好きを仕事にするって、とってもシビアで大切な事を見失いそうになる事も多々あるけれど・・・
自然を相手に何かを経営するとなると、厳しい事の方が多いように感じられる事もあったりするけれど・・・
山の中で思うようになんていかなくて当然なのだけれど・・・

それでも、森で人々の笑顔をみられた時は、あぁ、これこそ「役得」っていうものなんだなって思うんだ

来て下さる方々への「ありがとう」という気持ちや、沢山の方々に支えられて私はこうして立っていられている意識、自分自身が森を純粋に愛する気持ちが、もしも濁りかけたり、忘れかけたりしたら、気づけるように雷でも落としてね


私、もう少し この山で頑張ってみるよ

見守っていてね、お父さん




今日は涼しいね、お父さん

また山で待ち合わせしよう

ん、そうしよう


久弥子



Current Moon
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プロフィール

Coo

Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 夫の樹さん、黒猫のヤブさんと私Cooこと久弥子、ふたりと1匹、森暮らし。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれ、など。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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