悔しさを力に。

10 25, 2012
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神無月 月齢8日

パレット冒険隊の「秋いろ冒険キャンプ2012」でのことです。
・・・忘れないように綴りたいので、ちょっと長いお話です。

火おこし。

キャンプに欠かせない物のひとつ、火。

それは、調理だけでなく、暖をとる為だけでもなく、実は・・・というお話です。

↑は、冒険隊メンバーHちゃんが、夏休みに植物採取から繊維とり、紐作りまで行って、スピンドルなども全て手作りした火おこし道具です。

こんな手作り火おこし道具を持ってくるようになるなんて・・・その時点で、「あぁ、随分と成長したのね・・・」って感慨深いものがあるのですが・・・

今まで、火おこしに関しては、興味を示す子と、レクレーション的にやりはするけれど、そうでもない子の差がどうしてもあったのは否めません。

何故かというと・・・中々火がおきないからです(笑)。惜しいところまでいく子は、当然のごとく、心に火がついちゃったりするものだからなのかもしれません。

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一度火種が出来ると、嬉しくて仕方ありません。
ここまで心揺さぶられるのは、DNAが記憶している何かが自分の中にあるからなのかもしれません。

こんな小さな灯火がもたらすものは、計り知れないロマンを含んでいる気がしてなりません。

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Kくんは、必死でした。
煙が目にしみて目が開けてられないと涙ながらも諦める気配すらありません。
かれこれ、3時間以上は休む事をも忘れて、火おこしに没頭していました。1つの事にこれほど集中しているKくん、私も初めて出会いました。

そして・・・

みんなが美味しいご飯にやっとの思いでこぎ着けた頃、Kくんが妙な行動をしているのに、私は気づいていました。

木の影から影に移動して、チラチラと見え隠れ。
「あぁ・・・」そう思ったものの、近づいてくるまで、そっとしておこうと私は思っていました。

「ん?Kは??」誰とも無く気づきました。
「テントの中??」誰とも無く見に行きます。

「くぅー、Kがテントから出てこないよ・・・」

・・・・・・・

Kくんが冒険隊メンバーになって3年ほど経つでしょうか。今まで火おこしにはそこまで愛着は正直ありませんでした。
誰かがきっとつけてくれるよ・・という感じがどうしてもあったのだと思います。

それが今回のキャンプではどうでしょう・・・何が彼の心を駆り立てたのかは、本人にしかわかりません。もっというならば、本人にもわかっていないのかもしれません。

一年前のキャンプでは、中々焚き火に出来ない悔しさと歯がゆさを仲間同士でぶつけ合い、Kくんは悔しさのあまりに涙が止まらずテントにこもって、何も食べずに一夜を渡ったことがあります。

さぁ、Kはどうするのかな・・・そう思った時でした・・・

みんなの元に、Kが現れました。

・・・大粒の涙を流しながら。声にならない声を響かせながら・・・

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「K!美味しいよ、これ!食べよーよっ!」みんながそれぞれ食べ物を分けてあげようと差し出しましたが、Kくんの涙の粒が更に大きくなると、みんなからも笑顔がひとつ、またひとつと消え、ただただKくんを見つめていました・・・

「・・・誰かが何かした?」誰かが聞くと、Kくんは大きく首を横に振って、違うと伝えます。
「・・・誰かが何か言った?」みんな、自分が言った言葉を辿っていると、Kくんはまた首を横に振るのです。

「・・・ねぇ、K? もしかして、悔しかった?」私が聞くと、Kは黙ったまま一瞬泣くのをやめました。
「・・・ねぇ、もしかして、火種を焚き火に育てられなかったから?」更に言葉を付け加えると、Kくんは小さく頷いたと同時に、大声で泣き出しました。

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一枚の毛布。
1つの焚き火。

「分け合う」というよりも、「共に在る」ということ。
さっきまで「さーむーいー」といって私の隣を代わる代わる交代しては毛布に一緒にくるまっていた子たちが、何も言わず譲ってくれます。

「ねぇ、話したっけ? Cooが初めて火おこしした時の事・・・」Kは黙ったまま耳を傾けています。

『10人以上の大人たちが火おこしに成功していてね、Cooだけだったの、火種にも出来なかったの。もー、超悔しくてねーーっ。結局つけられなくて、「しょうがないよ、女性だし」とか「だって、Cooちゃんは小さいから力ないし」って皆に言われて、何か妙に悔しくてさー。

でもねー、ひとりだけ、帰り際に言ってくれた人がいて・・・「火おこしは『力だけじゃないんだ』って証明してみせてよ、小さいCooちゃんがっ!今後きっとさ、沢山の人の希望になるっ!」って。
でね、Cooね、悔しかったし、単純だから、諦めずに超練習したの!(笑)「悔しい」って、すごいねー!想像以上の力になるのっ!』

・・・


他のメンバーは焚き火を囲んでマシュマロを焼いています。

火種にできるのに、雨で湿りまくっている中では中々焚き火に出来ない悪条件の中で、そこにいる全員が同じ悔しさを抱えていた事でしょう。

だもの、みんなもKくんの気持ちは痛いくらい同じく感じています。

けれど、みんなは、言葉をかけるでもなく、ただただ一緒に焚き火に手をかざし、共にいるのです。
心ごと、共にいてくれているのです。

寄り添う。そう、そんな感じ。

少しずつ少しずつ、Kくんに笑顔が戻りました。
この日の一番のご馳走は自ら食べない事を選んだけれど、様子をみつつも「これ、たべない?残っちゃうから」って、ジャガイモ半分、「これも・・・」って、キノコをひとかけ・・・みんなが少しずつ少しずつKくんに・・・

みんなの優しさが受け入れられているKくん。以前までならそれさえ跳ね退けて意地になっていたのに・・・成長したね。

Kくんもみんなも、この夜は炭で黒くなった顔のまま寝袋へ。

「顔、洗ってから寝てー」なんて、ナンセンスな言葉を私は飲み込んで、「・・・おやすみー」

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最終日。快晴。
冒険隊メンバーが起き始めます。

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Kくんは、ほっぺに夕べの余韻。
そして・・・朝イチから、火おこしっ

ねぇ、いつから火おこし少年になったの?(笑)

こうして、「秋いろ冒険キャンプ2012」は、「いろいろパレット」〜小さな冒険プログラム〜史上例のない【火おこしテク強化キャンプ】となったのでした・・・(笑)

・・・・・・・・・・・・

キャンプ終了数日後。

テントを干していたKenが、テントにあるものを見つけました・・・

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キャンプでは、テントに子どもたちが思い出を毎回一言ずつ綴っています。

「今度こそ 火をつける」

Kの名前が添えられていました。

「あいつ・・・」さすがのKenも目頭が熱くなったようです。
私だって・・・泣き笑いっ!

Kは火おこしに成功しました!
だって、Kenと私の心に確かに火をつけたのですもの!!

・・・・・・・・・・・・・・・

ねぇ、みんな。

悔しい想いは、いっぱいした方がいい。
悔しさを力にかえた人は、本当の意味での強さの中に、純粋な優しさを持てるようになるって、Cooは信じているよ。

私もそういう人になりたいな。なれるかな? 一緒にそうなれたらいいね。

ねぇ、みんな。
一緒に成長していこう。
いそがず、少しずつ少しずつ。
自分が選んだことが、自分を信じて支える力になりますように。

みんな、ありがとう。
みんなは私の大先生っ!

また森で。
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Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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