冬越えの山椒実で ~食はエンヴジョニング~

03 24, 2015


弥生 三日月

冬越えの山椒実。

冬の強い風にも耐え残る実は極僅か。

既に種はなく、冬と春がバトンタッチする頃になって、ようやく小瓶を片手に裏の森へ。

手のひらに僅か程度の量だから、小瓶に入れるほどでもないのだけれど、僅かだからこそ、大切に小瓶に入れる。

それが私のちょっとした礼儀だと思っていたりもする。


一粒口に運び、カリリっと噛む。

ピリリとした刺激の後を、柑橘な爽やかな香りが追いかける。

「ん、これこれ。」

台所に戻り、食べるラー油を作ります。

IMGP9910_201503242116468be.jpg

まず、フライドオニオンを作ります。

フライドオニオンて、買うと高い。
玉ねぎをスライスして、小麦粉まぶして揚げるだけなのに。

低温で、こちょこちょしながら、じっくり揚げるのがコツ。

好みのコンガリの一歩手前で油から取り上げます。

こんな風に落ち着いく頃に理想の上がりになるから。

落ち着くまで、変化を続けるフライドオニオン。

香ばしくカラカラで美味しいから、全ての工程が一時ストップします。

そのため、多めに作らないといけません。



さてさて、材料ですが、採れた山椒実の量に合わせて全体を調整します。

花椒として中華食材売場で見つけることも出来ます。

干し海老を戻しておきます。

ただ、味が強いので、ほんのちょびっとでいいくらい。

入れすぎると干し海老の香りしかしなくなる。
普段ならともかく、山椒実の香をより楽しみたいなら、入れなくてもいいくらい。

私、実は干し海老の香りがちょっと苦手。
入れて後悔。
お好きな方はどうぞ、という感じです。

IMGP9907_20150324211629095.jpg

*長ネギ 1/4本ほど
*ニンニク ひとかけ
*生姜 小さな欠片ひとつ
*干しエビ 2gくらい
*山椒実  

全てを微塵切り。
微塵切りですから、微塵のサイズに。

*菜種油50mlくらい
*ゴマ油15mlほど

を小鍋にいれ、
微塵切りされたものと、少し叩いて細かくした山椒実とを入れます。

15分くらいフツフツさせます。
フツフツの音が軽やかに楽しくなってくると、香りも増してゆきます。



濾します。
アチチです。



粉唐辛子に霧吹きをかけます。
シットリ艶やかに美しい。



バゲットなど、パリッと表面のパンを焼いていた頃に愛用していた霧吹きが、水滴が細かく使いやすく、ニンマリシメシメ。



先ほどの油を再び小鍋に戻し、アツアツに熱しなおします。

それを、湿らせた粉唐辛子に注ぎます。

シュワワワーっ!のブークブク!

が楽しく、ここ、私の中でのハイライト。


ブクブクも、ハイテンションな気持ちも落ち着いたら、別にしてあった具とフライドオニオンを混ぜて、出来上がり。



小瓶に詰めて、ニンマリ。

山椒実の量に合わせて材料を調整し作ってみたら、丁度よい量が出来上がりました。


そのまま炊きたてご飯や、お豆腐などにのせて食しても勿論良いけれど、、



シンプルに茹で立ての白菜と食しても

IMGP9852_20150324211356a62.jpg

長芋に紫蘇を巻いて、片栗粉付けて焼いたものに添えても。

出来るだけ素材の味が優しいものと食したい。


山椒実にカリッと当たると、舌にピリリ、鼻にスーっと抜ける爽やかさが、広がります。

その味は、冬越えの逞しさが、春を望むような感覚と連れ添って、森で風に揺れていたあの実や枝たちを想い描かせるので、その映像をすかさずどこかに投影したくて、思わず眼閉じて、鼻から抜ける香りに森を感じるのです。


食はエンビジョニング。
五感を刺激する。


僅かにしか手には入らないものを、慈しむように頂くということが、何とも愛おしい。

そんな食事は、ほんの僅かな量で、この世界での幸せの全てを運んでくれるかのよう。

自然の恵みを食すことを、「季節を食す」と人は言うけれど、
それは、ひとつの季節の訪れを食すことではなく、グルリと巡る全ての季節と、そこに触れてきた全てのものたちをも感じさせるものだと感じます。

自分自身も、そこを通り抜けてきたということが、何だか嬉しくなる。



「美味しいね」

その一言に、味の背景に流れるものをも感じ、

「ご馳走さま」

その一言に、言葉にならない感謝をこめる。


日本人でよかったな。
ふと、そんな風に思う食卓なのでした。


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Coo

Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 夫の樹さん、黒猫のヤブさんと私Cooこと久弥子、ふたりと1匹、森暮らし。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれ、など。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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