ブブさんは見た、お山の迷い子事件。

06 11, 2015


水無月 月齢23

それはある晴れた午後のこと。

フラフラしている私の目の前に、前触れなく現れたカメさん。
(と、この話自体も唐突にはじまります。)

一瞬目を疑って、通り過ぎたものの、振り向くと、やはりカメさん。


そういえば小学生の時、私はミヒャエルエンデの「モモ」が大好きで、その物語に登場するカメのカシオペアにバッタリ出逢えることを想い描きながら登下校していたっけ、、

と思い出した時には、カメさんを既に手にとっていたのでした。

大切なものは目には見えないところに潜んでいるものだから、このカメさんに潜んでいるものを考察してみる。

結局目に見えないものを「考察」して「言語化」しようとする事自体がナンセンスであることに気づいて、再び頭空っぽにしてカメさんを手に歩くのでした。



そういえば、話はさかのぼって、その一週間くらい前のこと。

ちょっと出かけ帰ってくると、ご近所さんである、肩に猫を載せて犬の散歩をするTおばぁさんが、

「大変な事があったのよー!」

と現れ、息継ぎもしていないのではないかと思われるほどの勢いで「大変な事」のいきさつを話してくれた。


どうやら、お山の観光案内所に突然山羊が現れて保護され、警察がやってくる事件になったという。


そう、事件。


ここらはのどかなので、事件というと、迷い山羊なのね、、と内心微笑ましく話を聞いていた私。

、、、ん?山羊??!


「え、うちのブブさん逃げ出しましたか?!」

振り返ると、白山羊のブブさんは繋いでおいた場所にちゃんといて、のんきに草を食べている。。。


「それがねぇ、私もそうだと思って、メェメちゃん(Tおばぁさんはブブさんのことをメェメちゃんと呼ぶ)が大変!って行こうとしたら、、、おたくのメェメちゃんはちゃーんとそこにいるじゃねぇのぉ~!」

ん??どういうこと??

「迷い山羊なのよ。オスの。メェメちゃんは女の子だし、、」



迷い山羊。。。



えっと、ちょっと頭整理させて下さいね、、、


白山羊のブブさんの他に、この山に山羊さんがいるってことですか??

山羊さんなんて珍しいわねーって、ご近所さんたち皆さんおっしゃって可愛がってくれていたのに、、


それは謎な事件です。


お山のお巡りさんが預かってくれるとのことで、連れて行かれたそう。


そういえば、友人の紹介で出逢った美容師さんも、大家さんに犬を飼ってもいいか聞いたところ、

「犬かぁ~。。。山羊じゃダメ??」と逆に聞かれたって言ってたっけ。。


「ここらで山羊さんて、そう珍しくないのですね」

とTおばぁさんに話すと、

「そんなこたぁないけんどなぁ~。この歳になるまで、メェメちゃん以外は、今は廃校になった小学校で昔飼ってた山羊さん以外見かけたことないけんどぉ~、、」


その日からしばらく、迷い山羊さんの話題でモチキリでした。

謎が謎を呼ぶ、迷い山羊さん事件。



話は戻って、、

迷いカメさん。


謎が謎を呼ぶ。

我が家の裏庭には小さな池があるので、そこでとりあえず放ってあげようと考えました。

そうなるとすると、、

家族を紹介しなくては。

「なになに、それなに~?」とばかりに近づいてきた白山羊のブブさんに、
「カメさんよ。名前はまだないけど。」と紹介。

するとそろ~っと顔と手を出したカメさん。

暫くしてもそれ以上は動かないので、切り株で日向ぼっこしてもらっている間に、家に走ってゆき、樹さんと黒猫のヤブさんを呼びに行ったのです。


これで家族揃って紹介できるわ、と思って戻ってきたら、、、


忽然と姿を消したカメさん。

その間、ものの1分もかかっていないはず。

なのにどこを探しても見当たらない。


「おかしいなぁ、、確かにここにいたんだよ」

夢かと思えど、写真は確かに残されている。

「カメは意外と早いから」と樹さん。

「ブブさんは知っているんでしょう?」と問いただしても知らん顔。


迷いカメさん。
再び迷う。。


ん?
迷っているわけではないのかも?
とふと思う。

もしかしたら、カメさんにはカメさんのゆく場所があって、もしかしたら目的もあるのかも?

迷っていると想うのは、ちょっとこっちの勝手な解釈なのかもしれず、、、

そう想ったら、これ以上探し出そうとするのも気が引けてきて、、、


「いつか、池の縁で甲羅干ししている姿に会えたらいいなぁ、、」

そんな淡い期待を夕暮れ時の森の空気に託したのでした。





その数日後の事。

猫の額畑の中でちっちゃくなっていると、お山のお巡りさんがバイクでやってきました。

「いやぁー、山羊騒動ですけどね、、、」とお巡りさん。

「山羊騒動」だなんて、すごい名前だなぁ、と心で思いながら「どこの子だったかわかりましたか?」と聞いてみる。

「山下りたとこの子だったんです。古道伝いに山を登って来ちゃったみたいで、、、」

「えーーっ?!結構な距離ですよ??」


何が山羊さんをそんな衝動に走らせたのかしら。


「メェメちゃんの声が、風に乗って麓に届いてたんじゃないの?」

ご近所さんたちが笑い話としてそんなことを言っていますが、あながち笑い話でもなかったりして、、、

迷い山羊さんは、きっとこの道も通って行っただろうし、白山羊のブブさんは見かけたはずよね、と。


最近私の膝枕で毛繕いをされるのがお気に入りのブブさん。

「ブブさん、あなた、何か知っているのでしょう? ねぇ? ねぇーってばー」

そう問いただしても知らん顔で、陽だまりにウットリ、鼻歌唄うブブさん。


575A6822.jpg



山羊さんには山羊さんにしかわからない物語があるのでしょう。

そして、カメさんにはカメさんの物語が。


それをあれこれ想像して楽しむのが、最近のここら界隈の娯楽のひとつになっているとか、いないとか。


謎が謎を呼ぶ出来事。

とてものどかで、どこか考えさせられる出来事。


そして今日も、この森のある暮らしは、平和な1日でした。

雨がやってくるね、ブブさん。

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森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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