【それ】が今年もやってきた。

07 24, 2015


文月 月齢8 上弦

「梅雨明ケシマシタヨ」

私にとって、梅雨があけたな、というサインがある。

これは、森に通う様になってそう受け取る様になった、
あくまでも個人的な感覚のお話です。

それは、梅雨明け宣言が出されていようといまいと、あまり関係がありません。
あくまでも、個人的な感覚のお話です。


梅雨に入った頃だったか、
樹さんにそのサインについて話したのだけれど、
説明しようとしても中々上手く言葉にできないので、

「今年の【それ】がやってきたら、知らせるね」

とだけ言ってあった。


それは、夕方に近い時間帯に、スコールの様な雨と(時に雷を伴って)やってくることが多い。
全工程は極めて短時間で起こるのだけれど、その予感というか予兆はその数時間前からウズキ出すようだ。


今年の【それ】が、まさに今日やってきた。

「あ、この感じ!」と慌ててカメラを手に、森へ。

【それ】の雨は、何とも気持ちがいい。

この雨以上に、打たれるのにもってこいな雨があろうか、と想うほどに。


私はこの雨が好きだ。

この雨を運んでくるから、梅雨がこの上なく好きだ、と言っても過言ではない。


とにかく、【それ】は今年もやってきた。

樹さんにメッセージをした。

「これ、これのこと!」

樹さんはお仕事中にも関わらず

「降られてこよう」と返事を返して暫くやりとりも途絶えた。




その雨が上がる。
と、その独特なそれが森中に広がり漂う。

そして、空気が入れ替わってゆく感じが肌で感じられる。

これ、これ、これが【それ】なのだ。


数年前、森の中の秘密の場所で【それ】を迎えた時は、目にも見えたことがある。

それは、それは上手く説明できないのだけれど、朝もやにも少し似ている何かだ。

ただ、朝もやよりもしっかりとしたラインをしている。


【それ】が見えたのは、その一回きり。

【それ】が何なのかを科学的に知りたいと想う反面、どこかで知らないままでいたいという小さな気持ちがくすぐっている。


とにかく、その段階を経ている森は、実に美しい。

「美しい」という言葉では足りないけれど、「美しい」という言葉がまさにピッタリな、逆説的でありながらも理路整然としたものなのである。

そして、静寂に包まれる。









しばらくすると、再び蝉やヒグラシが何事もなかったかの様に鳴き始める。

「アァ、梅雨ガ明ケマシタネ。」


森を仰いで深呼吸。




「さっぱりするね」と一言、樹さんからメッセージが届いた頃には、森に涼しく清々しい風が吹き抜けていた。



今年も、夏本番がやって来た。




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森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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