皆既月食とラブレターと、カナブンと。

12 13, 2011
total eclipse

師走 月齢18日

Total Lunar Eclipse
皆既月食。

私の影が、月にいる!
シャドーCooは念願の月に辿りつきました。


物心ついた頃から、月好きでした。
かといって、月について何か調べたり、知識を得たがったりは、不思議としませんでした。

それでも月は、淡々とただそこに浮かんでおりました。

私は時々家出をする子でした。何か嫌な事があったわけでもなく、夜な夜な家を抜けだすのです。
我が家は、道を挟んで、雑木林に囲まれた大きな大きな沼があり、そこに映るお月さまが大好きだったからです。

その帰り道、良く月が家まで送ってくれたものです。
転ばないように、ウッカリ道を間違えて違うお家のお布団にもぐりこまないように、足元を照らしてくれているのだと、幼い私は思っていました。


とにかくとにかく月が大好きで、こんなにも好きなのだから、「きっといつの日か、私は、お月さまの砂になるんだ」と思い、それが私の最終的な夢でした。

月への気持ちがつのるいっぽうだったある日、学校の先生の提案で、手紙を書くことになりました。

テーマは「ありがとうの手紙」

先生は言いました。「いつもの【ありがとう】を込めて、大好きな相手に手紙を書きましょう。そしてそれを届けましょう。」

紙が配られ、みんな「誰にしようかな~」と悩んでいる中、私は悩みました。

「お月さまに、どうやって届けたらいいんだろ…」

悩む悩む悩む・・・

住所がわかりません。
「お月さまへ」で届くかなぁ。郵便局の人、そこまで行ってくれるかなぁ。切手は物凄く高いかもしれない・・・お年玉、とっておけばよかったなぁ。とりあえず、おかあさんに相談してみよう・・・と。


チャイムが鳴ると、先生はいいました。「書き終わらなかった人は、宿題です。書き終えた人は封筒に入れて、その人に渡しましょう」


しゅ、宿題・・・せ、せんせい、手渡しですか・・・


その日の夜、お風呂で考えていました。
「お月さまに向かって手紙を見せたら、読んでくれるかなぁ・・・」

お湯の中でプカプカブクブク予行練習していると、大きな問題にぶち当たりました。

「字が・・・小さすぎて、お月さまから見えないかも・・・」


・・・・・・・・・

そして、私は小学校の校庭におりました。
木の枝を手に、ぽつーーんと1人、夜の校庭に、私。

「出来るだけ大きく書くには、沢山の文字はかけないから・・・」

枝を地面に押しつけ、走りました。夜の校庭を。無我夢中で。

そして書きました。お月さまが言葉を読めなくてはいけないから、出来るだけ簡単な言葉を。
校庭いっぱいに、たった2文字・・・


「す き」


生まれて初めて書いたラブレター。

なんて、ストレートな。なんて、大胆な。
大人になった今、あの夜の事を思い出すと、今でもあの達成感が蘇ります。
お返事なんて求めません。ただ、溢れる気持ちを伝えたかっただけでしょう。

あまりにも満足気に、意気揚々と家路についたことでしょう。
その証拠に、どうやって家に帰ったかは覚えていません。
けれど、感じられます。
その夜も、私は月に足元を照らしてもらっていたことを。

ただ、気になるのは・・・

「ありがとう」の手紙だったはずなんですけど・・・宿題の趣旨が、ビミョーにズレてますよ、あなた。

IMGP0791.jpg

皆既月食だった土曜。
「私たちの影が月に、確かにいる!!」という感動。

皆既月食が終わると、お月さまの光は、通常営業でございます。
だから私は「シャドーCoo、おかえりなさい。長旅、お疲れ様。よく帰ってこれたわね」と影をナデナデ。

夢だった月の砂の一部になってきた、私の影。愛おしくて愛しくて。
でも、気になることろの・・・「で、どんな感じだったの?」と尋ねても、教えてはくれません。


「カナブンの中には、月の明りを目掛けて飛んでゆくヤツがきっといる」というお話を、皆既月食を眺めながら、Kくんがその夜教えてくれました。
衝撃が走ります。


あぁ、お月さま、

私、あの日からというもの、貴方と同じく、自分も宇宙に浮いているってこと、実感しちゃってます。

あぁ、お月さま、

満月の夜は特に、不器用にも全身全霊、命をかけて、健気にあなたを目指すカナブンたちのことをも、想ってしまうことでしょう。

ねぇ、お月さま、

私、ますます、あなたに恋してしまってます。こんな一方通行な片思い、ここまで来たら、叶わぬ恋でも全く気にしません。

だって、お月さま、だって、だって・・・

私も、シャドーCooも、あなたにゾッコンです。
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4 CommentsPosted in
4 Comments
By salt12 13, 2011 - URL [ edit ]

あふれてんなー 自分。全開やなー。いい感じやん。らしいらしい。
郵便局の人に…この期に及んで意外と冷静なとこが 笑えた…

By Coo12 13, 2011 - URL [ edit ]

salt,

溢れだしちゃったねー。
月食見ていたら、ふと思い出しちゃってね。時々思い出すんだけど。

そう、意外と私、現実的なの。切手の値段まで心配しちゃうんですもの。
そんな相談、母は上手く交わしたんだろうなぁ。一緒に楽しんでくれそうだ。
なんせ、「哺乳瓶をクジラの赤ちゃんにあげましょう」って人だから。

By スヤマンガ12 13, 2011 - URL [ edit ]

すごく素敵な人生を送ってるね、cooちゃんは

なんだか何もかもが健気なエネルギーに満ちて動いてるように感じるよ

By Coo12 14, 2011 - URL [ edit ]

スヤマンガくん,

わ、ありがとう。
スヤマンガくんの生き方もドラマティックだと思う。

じつはね・・・
うちの庭先、そう、あの庭先、フェンスの下辺りに、巨匠たちの作品がズラーーっと並んでいたの。
今まで知っているようで、知らなかったよ。
って思って街へ出れば・・・健気にいるじゃないの、コンクリートの隙間とかまで!

あぁ、この世は、そんな健気な子たちの生き様で成り立っている気までしてきた。
あれから毎晩、月を見上げては、カナブンを想ってるの。

ねぇ、この感じ、この感じ、いいよね。

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森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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