はじめまして、仔ヤギちゃん。

06 14, 2016
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水無月 月齢8

それは、5月の満月の早朝のこと。

ブブさんに、仔ヤギちゃんが誕生した。

去年の春から秋のはじめにかけて、ここcotoriの森で一緒に暮らした白ヤギのブブさん。
去年の秋にファームに戻り、種付けのため暫くの間、よそから雄ヤギさんが連れてこられていたのだった。

連れてこられたのは、スマートで毛並みも中々、イケメンかつ器量良し、私好みの雄ヤギだった。
私は内心、「こいつになら、ブブさんを嫁がせても、、、」と思っていた。


春になり、苺狩りは最盛期を迎え、あっという間に初夏となり、
気づくとブブさんのお腹が大きくなっていた。

これは期待出来る!
と喜んだものの、ふと見ると他の雄メェメさんたちも同様に横幅が成長している、、、
シーズン中、苺を沢山食べたメェメさんたち、、、

「お腹張ってるよねぇ、、、?」単なる小太り疑惑浮上。
「お乳も大きくなったよねぇ、、、?」想像妊娠疑惑浮上。

(いいんだよ、小太りで終わったとしても。健康ってことだから、、、)

お腹をスリスリさする日々。

もう春ねぇ、、、もう初夏ねぇ、、、もう梅雨だよねぇ、、、えーーっと、、、

(いいんだよ、本当にいいんだよ、スリスリスリ、、、)



「産まれました!」


満月の日の朝6:00頃、連絡が入る。

こうして無事、ちっさくて、柔らかくって、あったかくって、いい香りのする仔メェメちゃんが誕生したのだった。

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仔メェメちゃんがか細く鳴くと、
ブブさんは、側にいる事を伝えようと、囁く様に優しく声を発し、仔を安心させ守ろうとしていた。

ブブさんのそんな声を初めて聞いた。

あの甘えん坊なブブさんが、母している。

新しい命が目の前にこうして在ることに対しても胸があつくなったが、
ブブさんのそんな姿に、私はとても大きな感動を覚えた。

そしてそのふたつの命に関わっている自分自身も、その命の連鎖の和の一部であることを感じるのだった。

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ブブさんは、昼頃になると食欲旺盛に戻った。

やっぱりブブさんは、ブブさんだ。

ふと思い立って水をバケツにくんできて差し出すと、一心不乱に飲み始めた。

ヤギは草から水分をとるので十分らしく、普段ほとんど水を飲まない。
ただし、飲む時は犬や猫のように舌をペロペロさせず、口を水面につけストローを吸う様にチューーーッとする。

「チューーーぐふっ、チューーーぐふっ、チューーーー、、、」を繰り返していた。

思わず笑ってしまうのだけれど、出産というものがどれだけのものだったのかを物語ってた。

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落ち着くのを待って、仔メェメちゃんを抱かせてもらったのはその日の午後の事。

ブブさんはスリスリと甘えてきた。
私が仔メェメちゃんをかまっているとヤキモチを焼く。

その時だけは、母の顔ではなく、いつもの甘えん坊な顔をしたブブさんだ。
まだ幼さの残る女の子なのだ。

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産まれたての仔メェメさんは、立ち上がってはすぐに座り込んでいた。
抱っこすると腕の中でスーーっと寝おちてしまっていた。

まだ体力がないからなのか、
産まれることで疲れたのか、
それとも、、、

(どうか、どうか無事に育っておくれ)

そう祈らずにはいられなかった。

そんな仔メェメさん誕生初日だった。

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次の日。生後1日目。

私の心配をよそに、仔メェメちゃんはヤンチャに遊び回っていた。

そして早くも小屋からの脱走をはかり、走り回るほどになっていた。

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ひゃーーっ

足ぷるぷる

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そろりそろり、、、

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ずっ、ずびっ、ず、ずーーー〜

(滑れない滑り台の擬音語)

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澄んだ青みがかった目は、好奇心を詰め込んだかのよう。
目にするもの全てが「はじめまして」って素敵なこと。

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その次の日。生後3日目。

母の真似をして草ハムハム。
こうした真似っこから徐々に食べられる様になるのだろう。

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へその緒がとれて、かけっこもヤギとは思えないほど驚きの早さになってくると、
角もすこーし生えてきて、
頭突きの真似っこもするようになり、
そして、機嫌がいいとジャンプして踊る様になった。

ブブさんの血なのか、それともヤギってそういうものなのか、、、

いずれにしても面白いから、私も一緒にピョンピョン跳ねていた。

そんな昼下がり。

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そうして梅雨がやってきた。

これから苺は来季に向けての作業へと移ってゆく。
また季節が巡る。

ブブさんの初めての出産と仔メェメちゃんの誕生は、
苺シーズンの最後に、大きなご褒美のような出来事だった。

一年間、お疲れ様でした。

ブブさん、仔メェメちゃん、ありがとう。

ありがとう。


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プロフィール

Coo

Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 夫の樹さん、黒猫のヤブさんと私Cooこと久弥子、ふたりと1匹、森暮らし。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれ、など。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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