天青の色の行方。

12 22, 2016
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師走 月齢22

ふと気づいたら年も残り僅かで終わろうとしています。

諦めも大切。

ただひとつ、年が変わる前に、
秋のはじまりから友人と交わした手紙のことをお話しましょうか。


秋になるとクサギの実がなるのが気になり始めます。

友人への手紙の冒頭にも、季節の挨拶としてそう綴りました。


丁度クサギの実が青くなりはじめた頃、友人から小包が届きました。

袋をあけると、ヤギの絵本他贈り物と共に「天青の実 - くさぎ -」という章が添えられていた。

それは、染織家 志村ふくみ氏の文章でした。


京都の山間から流れる川の鬱蒼とした茂みで集められるという。


私も裏庭の森の茂みを分け入ってクサギを集めながら、
私の芯は、空の青と森の緑が掛け合わされた碧に染まるのでした。


色からして、宇宙からみた地球をイメージさせます。


森の中で天青の実を仕分けながら、
「今度、毛糸が染まったら色を見せてね」と綴ってくれた友人のことを思っていました。



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去年はクサギで毛糸を染めました。

靴下は未だ編めていません。
(編み物の本まで買ったのにね)

今年は羊毛とアルパカの2種を染めました。


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更に欲張ってガーゼハンカチとハンドタオルも。

下処理しても尚、白が際立つのは、クサギの青さのせいでしょう。


何回か染め重ねてゆきます。
素材の違いで色も変わりますが、回数でも色の変化が大きく面白い。

「もう一回だけ、、、」と思って染めると、

「あぁ、さっきまでの色の方が私好みだった、、、」ということも。


頃合いの見極めと欲張らないことが大切です。


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綿糸はとても鮮やかな青が得られました。
心躍ります。


ある資料によると、クサギは媒染(色の定着)の必要がないとあり、去年まで媒染せずにいました。

けれど、半年もしないうちに、洗濯したわけでも、日に当てたわけでもないのに、色が変わってしまうのです。

そのため、今年は色を定着させるべく媒染することに。


どうかこの青が残りますように、と。

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ガーゼは澄んだ青空のようでもあり、
濯ぎの水に揺蕩うと、コバルトブルーの海のよう。


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もう一枚あったので、どこまで染められるか試してみると、、、

次第に緑がかってエメラルドグリーンに近くなってきました。

実を包んでいたガーゼも美しく染まっています。

これはこれで美しい。

志村ふくみ氏の表現が浮かびます。

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ハンドタオルもこの通り。美しく染まりました。

綿糸の媒染を主張の強いものにかえてみたところ、グレーがかったモスグリーンなりました。
(右下の毛糸)

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素材、染める回数、媒染の違いで楽しめる色の変化。

そのバリエーションは無限大。

これだもの、毎年試みても次々に課題が与えられるわけです。


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そしてこの後、日影で干して糸玉にします。

あまりにも絡まってしまい、毎日少しずつ玉にしていたわけですが、、、

朝起きると、部屋中に糸が。

の、繰り返し。

クロネコのヤブさんは、夜な夜な毛玉と遊んでいらっしゃるようで。





そうこうして、冬の足音が聞こえはじめた頃。


ふとみると、糸からもガーゼのハンカチからも、
いつの間にか青気が抜け、薄いエメラルドグリーンになっているではありませんか。


全て染め重ね過ぎて緑色が強くなったあの色に。

(右の色から↓左側の色へ)

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青はどこに消えたのでしょう。


私は友人に見せるつもりだった糸玉を手に、暫し考える。



そして友人に手紙を書きました。

「消えた青はどこへいったのでしょう。空の青を少しだけ濃くしたのかしら。だったとしたら、なんて粋なのでしょう。」



友人にはこの青を見せてはあげられなかったけれど、
志村ふくみ氏が、クサギの実で染めた青い糸の色合いを、

「どこか玉のような半透明の光りを帯びて、うすみどりの影をさすのである」

と表現した、そのわずかな色合い。
ルリビタキが飛び立った残像が森に留まるような、空かす光りの色のようで、ジンワリとくる。


そのことにこうして気づいた今、
「瑠璃の微粒子が匂い立つ」と志村ふくみ氏の言葉を受け、
クサギの実の香りを、もう二度と「カメムシの香り」などどは表現しないでおこうと、心に誓った。


そんな師走。


友人に今年最後になろう手紙に瑠璃が飛び立った糸を添えて手渡しました。
澄んだ青色は来年に持ち越し。来年の課題。

とはいえ、既に「もしかしてあれをああしたら、、、」が私の中には既にあるのです。


きっと彼女なら、そうして楽しみを先延ばしにしていることもわかってくれることでしょう。



来年も私はクサギを摘んでいることをイメージしながら。

また森で。

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Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 夫の樹さん、黒猫のヤブさんと私Cooこと久弥子、ふたりと1匹、森暮らし。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれ、など。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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