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花に触れる時も、鹿に触れる時も。

09 18, 2018
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Clematis terniflora

長月 月齢7 


腕を伸ばす。
触れる。

ただそれだけのことなのに。


触れそうで触れられない。

伸ばした腕の行き場を失う。

触れられない何かと、触れてはいけない何かが、息をのんで見つめ合っていた夜の出来事。




山に生きる野生の鹿に触れることが出来たなら。
そんな話をかつて山仲間たちと良くしたものだ。

ところが、いざその時が訪れると、私は触れる事が出来ない。
それが何故なのか、自分でもわからない。



体勢を取り直し闇に消えてゆくその姿を、見えなくなって尚見送くっていた。
罪悪感を抱きながら。




IMGP7464.jpg


あの夏の夜に出会った鹿を思い出しては、胸が痛くなる。


あの子に出会った場所は今、センニンソウの花が満開だ。


花に触れる時も、鹿に触れる時も、同じくありたい。
命への尊厳に触れる心持ちで。



センニンソウの花が散り、銀白色の羽毛が夕暮れの柔らかな光に照らされる姿が思い浮かぶ。

花を見つめながらも、その次の季節を感じている。





私の中に、センニンソウが息づいている。
私の息に、鹿の呼吸が重なっている。


私が私となり、と同時に、私が私でなくなってゆく。




歳を重ねるとは、そういうことなのかもしれない。






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Author:Coo
森のある暮らしを綴ったフォトエッセイ。 裏高尾、筑波山を経て、現在 京都・比叡山にて。 森の事、野草や薬草のこと、森料理、日々のあれこれなど。 森の風があなたのもとにも届きます様に。

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